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ふじむら歯科医院の日々


by fuji-dent

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重度歯周病と部位特異性

 先日の「臨床歯科を語る会」最終日、熊本の東先生の重度歯周病に対するすばらしい臨床例が提示されました。演者は私より少し先輩のご年齢ですが、この十数年歯周病のメッカの一つであるスウェーデンのイェテボリに毎年行かれて研鑽なさっておられる先生。実力十二分ながらご本人の、(あまり外に向けて出たがらない性格)のため、なかなかその臨床を拝見することがありませんでした。今回、同じスタディグループ、熊本デンティストミーティング(KDM)の先生方の、(ぜひともこの先生をご紹介したい)という熱意で今回のご講演が実現したようです。飾らず謙虚なお人柄、と言う触れ込み通り。
 保険診療中心の我が診療室では、なかなか取り入れるのが難しい部分(メタルボンドの補綴など)もありましたが、あの重度の歯をメタルボンドでのクロスアーチとする勇気(責任)には脱帽でした。
 私のところでももちろん歯周病は熱心にやっておりますが、保存が難しそうな歯にはあまり治療費をチャージすることもためらわれ、保険適用の接着剤を応用した臨床です。今回昔保存に取り組んだ印象に残る症例を調べてみました。
 下記の症例の患者さんは初診時40歳。同業者が見ればお分かりでしょうが、年齢からして相当重症です。しかし歯周初期治療にうまく反応してくれて、2、3ヶ月、7、8回の来院で多くの歯が保存できメインテナンスとなりました。治療期間中も一切の固定はしませんでした。
 しかし、「喉元すぎれば熱さを忘れる」という諺を地で行っている患者さんで、メインテナンスの来院は術後半年の1回で中断。業を煮やしその2年後こちらからご連絡して2年間はメインテナンスが続きましたが、再び中断。詰め物が欠けたりしなければ来院なさいません。2、3年に一度拝見できればいいのですがこの2年はそれもできていません。
重度歯周病と部位特異性_f0154626_16225037.jpg
術者とすれば(あれほど頑張って保存したのに)とむなしい思いが残ります。
 ただし、前歯はあれほどの骨吸収なのに、左上の3〜7は初診時からそれほどの骨吸収ではありません。全顎にわたって上顎2〜2のような骨吸収であれば、全歯抜歯となったかもしれません。
by fuji-dent | 2013-07-19 16:35 | 経過観察